ブルベ再び
2026年6月30日
一昨年、初めて200kmのブルベに挑戦し、なんとか完走することができました。あの感動が忘れられず、今年も200kmブルベに挑戦しました。
ブルベとは「認定」という意味をもったフランス発祥のサイクルイベントで、規定された距離を基本自己責任で制限時間内に走りきる必要があります。距離は最短で200km、長くなると数日かけて1000km以上走らなくてはならないブルベも存在します。
今回挑戦するコースは主に大阪、京都、兵庫を川沿いに巡る200kmのコースで、ブルベ初心者でも参加しやすいコースの一つに数えられていますが、なんせ距離が長いので入念に走行計画を立てる必要があります。
前回のブルベでは峠を3つも越えなくてはならず、膝へのダメージが蓄積してとても苦労しましたが、今回は山が一つも無いので気持ちはかなり楽です。とはいっても距離は200km、行く手にはどんなトラブルが待ち受けているか分からないので油断は禁物です。
とにかくブルベは他の大会と違って荷物が多くなりがちです。
ブルベではコース途中でリタイアを宣言した場合、リタイアした場所には誰も迎えに来てくれないので、自分で近くの駅を探して自走し、自転車を電車に乗せて帰らなくてはなりません。なお、自転車をそのまま電車に乗せることは禁止されているため、「輪行バック」と呼ばれるフレームから前後のホーイルを外してバラした自転車をまとめて入れる袋が必要です。
万一のことを考え、自転車にはドリンク、パンク修理キットの他にサドルバッグ(中に輪行バックやレインウェアなど)、トップチューブバッグ(中にはハンガーノックを防ぐための補給食)、前照灯2つ、尾灯2つ を取り付け準備が整いました。これでも重量は前回のブルベの時より500g程軽いはずです。
ブルベスタートは朝5時で、4時20分から受付が始まります。スタート地点は大阪府守口市内のとある公園なので、夜中1時に徳島を出発しましたが、さすがにブルベ前日は気分が高揚して3時間程しか寝られませんでした。
今回は友人3人も一緒に参加することになっていたので心強い限りですが、そのうち2人は地元出身のうえ私より20歳も若いので、足手まといにならないようにせねばなりません。スタート地点に着くと、皆すでに車検を済ませており準備万端でした。そして夜明け前の薄暗い中、ブリーフィングが始まりました。コースは基本川沿いのサイクリングロードですが、途中何カ所か地図を読みにくいポイントがあります。事前に公開されているキューシートで注意するポイントを確認します。例えば「○○km地点に階段がある」など、注意するポイントが書かれているのですが、うっかりミスコースした場合、○○km地点までの距離がずれてくるので、走りながら修正するのに意外と苦労します。
朝5時、夜明けと同時にブルベが始まりました。スタートしたらすぐに淀川南岸のサイクリングロードに入り川を遡ります。今回のブルベではPCという名の、いわゆるチェックポイントがゴールを含めて14カ所も設定されています。一つでも見逃してしまうと完走認定してくれないので、ポケットに全てのPCの位置を記入した小さな地図付きのメモ用紙を入れておきました。
淀川のサイクリングロードには「メタルクワガタ」と呼ばれる金属製のポールが多数設置されています。まさにクワガタの顎のような形状の金属が地面から突き出しており、ランドヌールの行く手を阻みます。ここでは自転車と靴を固定しているクリートを外さないと無事通過することができず、ポールの幅も非常に狭いため、車体が不安定になりフレームやホイールをぶつけそうになります。さらに場所によってポールの形状が変わるのでとても厄介でした。
地元出身の友人から、このメタルクワガタの餌食となり大切な自転車を壊されたサイクリストは数知れずと聞き、スタート早々このブルベの危険さを感じずにはいられませんでした。
初めて遭遇するメタルクワガタに苦戦しつつ、第1PC(24.9km地点、御幸橋)に辿り着きました。ここはフォトチェックといって、橋と自転車を一緒に写真を撮り、ゴールした後で撮影した時間と写真を確認してもらう必要があります。淀川(大阪)を遡ると京都府に入ったあたりで桂川と宇治川、木津川にほぼ三分岐します。この辺りは景観も良く、とても気持ちよく走ることができます。
しかしブルベは始まったばかり。まだまだ先が長いので、御幸橋で写真を撮った後は急ぎ第2PC(38km地点、山城大橋)を目指して木津川を遡ります。時刻は6時30分、早朝からランニングや散歩、サイクリングしている人と数多くすれ違いました。
第2PC(38km地点、山城大橋)を折り返し、ふたたび御幸橋に戻ります。御幸橋は第1PC(24.9km地点)と第3PC(51.1km地点)を兼ねており、ここからは御幸橋を渡って北上し桂川から鴨川沿いに入って京都市内を目指します。
鴨川沿いで地図を読み間違えてしまい10分程タイムロスしましたが、なんとか無事コースに戻ることができ、第4PC(69.6km地点、寺町二条のコンビニ)に到着しました。PCがコンビニの場合、何か買い物をしてレシートを貰う必要がありますが貰うのをすっかり忘れており、危なく認定取り消しになるところでした。
スタートして約3時間半、爆弾の左膝の調子はまだ大丈夫そうでしたが、かなり巡航速度を上げてサイクリングロードを走っていたので、すでの途中で何度も酷使した右足がつりそうになっていました。水分や塩分を多めに補給した後は京都御所から西に向かい、嵐山に向かいます。第5PC(80.0km地点、阪急嵐山駅)までは約10km程しかありませんが、何度も信号に捕まるのでストップ&ゴーが続くので意外と疲れます。
信号峠を抜け朝9時すぎに嵐山に到着しました。この時間帯はまだ開店前の店が多く観光客も少なく、すんなりと通り抜けることができました。もし1時間も遅れていたら、とんでもない人出に出くわし行く手を阻まれるところでした。渡月橋はPCではありませんが有名な観光地なので勿論写真に納めます。
第5PC(80.0km地点、阪急嵐山駅)を通過したら、ここからは桂川を下り再び淀川を目指します。前半飛ばし気味のペースだったためか、この辺りからスタミナが切れ始めてきました。徐々に集中力も低下しはじめ、第6PC(91.4km地点、久我橋)に着く頃には、一体自分が今どの辺りを走っているか分からなくなってきていました。
幸い一緒に走っている友人が道先案内をしてくれるので迷うことなく第7PC(98.7km地点、長岡京コンビニ)に到着しました。京都の滞在時間はたったの3時間と勿体ないですが観光は別日として、ここからは再び大阪に戻ります。完全にスタミナ切れでこれまでと同じスピードでは走ることができず、淀川に入ったあたりから少しずつ遅れ始めます。友人も気遣ってくれ、何度か休憩を入れてくれました。
そしてようやく第8PC(118.3km地点、とりかいとぴあ)に到着です。時刻は11時30分、スタートから6時間以上が経過しており走行距離もすでに100kmを越え、ここからが本当の正念場です。第8PC(118.3km地点)を過ぎるとコースは一旦淀川から離れ、分流の神崎川に入ります。下流に向かうにつれて工場も増えてきたためか、見た目の水質も悪くなってきました。神崎側沿いにかかる第9PC(133.4km地点、大豊橋)を渡りいよいよ第三の県、兵庫県に突入です。
この辺りも地図読みが難しく、途中で自転車を担いで階段を降りる道もあったりして参加者達を悩ませます。大阪府と兵庫県の県境を流れる猪名川を北上し第10PC(138.5km地点、伊丹空港)を目指します。ここでは滑走路の端に自転車を止め、着陸する飛行機と自分の自転車を一枚の写真に納めるミッションが待っていました。現場に到着した時、運良くプロペラ機がやってきたので、すぐに写真を撮ることができましたが、この場所は飛行機の着陸を真下から眺めることができる珍しいスポットのため人が多く、ゆっくり休むことはできませんでした。
第10PC出発後は疲れた体に鞭を打ちつつ、さらに猪名川を北上します。猪名川を挟んだ伊丹空港の反対側(西側)はNHKの大河ドラマ「豊臣兄弟」で織田信長に反旗を翻した荒木村重の居城、有岡城の跡地があります。残念ながら川の向こう側にある有岡城跡地はイオンの建物に阻まれ見ることはできませんが、この地を通過する際に歴史を感じることができ感慨深いものがありました。そういえば荒木村重の妻である「だし」は5時間前に自転車で通過した鴨川の六条河原で処刑されたのでした。
伊丹空港を北上すること約11km、第11PC(149.8km地点、池田古江町のコンビニ)に到着です。全体の4分の3を走り終え残りは50km、時刻は12時なので、あと6時間30分以内に50km走ればゴールです。
前回のブルベでは後半は水以外まったく喉を通りませんでしたが、今回はおにぎり1個食べるだけの余裕がありました。
第11PCを通過後再び猪名川を下りながら先程走ってきた道を南下して淀川に戻ります。この辺りから雲行きがあやしくなってきました。案の定雨が降り始め、友人のパンク修理も重なり、いきなりペースが遅くなりました。あせらず橋の下で雨宿りし、小雨になったのを見計らって再出発です。工場地帯の途中で第12PC(172.0km地点、両島橋)があるのですが、小さな橋で見落としそうになりました。
第12PCを過ぎたら淀川下流北岸の工場地帯ともお別れです。淀川にかかる伝法大橋を南に渡っていると再び雨脚が強くなり、同時に左膝の違和感を感じ始めましたがゴールまであと30kmを切っており、気合いで第13PC(180.2km地点、舞洲のコンビニ)に向かいます。舞洲は大阪万博の跡地で淀川の河口に位置しており、あと少しで淀川全制覇です。
第13PC到着が16時過ぎでした。かなり疲れていたのか、30km走るのに4時間もかかっていました。制限時間が18時30分なので、あと2時間あまりで残り20km走りきれば無事ゴールです。
雨も一旦やんだのでPCを出発し淀川南岸を再び遡るのですが、途中で国道2号線を北上し再び淀川北岸に渡ってサイクリングロードに入ります。どうやらここが淀川サイクリングロードのスタート地点のようです。夕方、淀川のグランドで少年達が野球をしているのを横目に本格化してきた左膝の痛みをこらえつつ豊里大橋まで約9kmを走りきり、再び橋を南下したらついにゴール(200.8km地点、守口市内のコンビニ)に到着しました。
ここで最後のレシートを受け取り終了なのですが、ゴール受付はここから2.3km離れた場所にあるので、引き続き自転車で移動します。ゴール受付ではPC通過時刻を記入したブルベカードとフォトチェックの写真、コンビニレシートを主催者に確認してもらいます。そして無事2個目のブルベメダルを手に入れることが出来ました。
ゴール受付ではありがたいことに主催者の方がカップラーメンやアイスクリーム、ジュースなどを用意してくれており、ブルベの暖かさも感じることもできました。なにより、前回のブルベは単独走でしたが、今回は友人と一緒に走ることができ、途中いろいろと助けてもらい感謝しかありません。
このブルベを通じてまだまだチャレンジできる喜びを感じることができ、非常に良い経験をさせてもらいました。


















