院長ブログ
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家庭血圧測定のススメ
2015年6月20日
日常診療で、家庭での血圧は高くないのに診察室での血圧が高い患者様を見ることが多々あります。高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)では、家庭や24時間自由行動下での血圧測定を勧めています。特に家庭血圧は診察室での血圧よりも生命予後の優れた予知因子と報告されており、当院でも高血圧治療中の患者様に血圧手帳をお渡し記載していただくことで、血圧の評価を行っています。
日々の血圧記録は治療継続率を上げることもさることながら、一目で治療効果を判定することが可能です。また、家庭血圧は長期にわたる多数回の測定が可能であり、季節変動のような長期の血圧変動性の評価にも有用です。
JSH2014における家庭血圧測定の方法・条件・評価は以下の通りになっています。
- 上腕(肘より上で巻く)タイプの家庭血圧計を用意してください。手首や指で測定するタイプの血圧計は簡便ですが正確性に乏しいことが多いので、あまりお勧めできません。
- 基本は朝の起床後1時間以内で排尿後・朝食や朝の服薬前に行います。ちょうど良い室温の部屋で椅子に座り1,2分の安静後、腕に巻いたカフを心臓の高さに合わせて測定してください。
- 晩の測定は就床前に行います。
- 1機会に原則2回測定して平均をとりますが、1回のみ測定した場合には、その数値でもかまいません。1機会に何度も測定する方がおられますが、1機会に4回以上の測定は勧められませんので、あまり一喜一憂しないでください。
- 血圧を評価する際には、朝の評価なら、朝の測定値5日(5回)以上の平均をとります。晩の測定値も同様です。
- 朝・晩それぞれの平均値が135/85mmHg未満なら正常域血圧です。
- 朝・晩それぞれの平均値が135/85mmHg以上なら高血圧です。
本邦における高血圧に起因する死亡者数は年間10万人を超えており、心血管病死亡の約50%、脳卒中罹患の50%以上が血圧高値に起因するものと推定されています。また、心血管病の多くはある日突然やってきます。
高血圧は、なにより治療を継続することが大切です。家庭血圧を測定することが日課になれば、血圧の高い朝は食事の時に食塩を控え、減量のために散歩の距離を増やすきっかけになるかもしれません。食事と運動療法のみで降圧薬の減量や中止が可能な方もおられますが、食塩は意外なものにも多く含まれていますので、当院では管理栄養士による栄養指導や健康相談も行っています。
家庭での血圧が高いと感じた方はいつでもご相談ください。